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そうだ、京都行こう 2015盆(26)自尊心を持つ庭 [紀行]

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鳥羽街道駅からのんびりと歩いていきます。

坂を上がると見えてきたのが、目的地である光明院さん。

重森三玲さんの手によるお庭、波心庭があるお寺さんです。

東福寺さんの塔頭であり、GWに東福寺さんを訪れながら事前調査不足で立ち寄っていなかったのです。

これが良かったのかもしれません。

NHKの日曜美術館で重森三玲さんの特集が組まれた時に、このお庭が紹介されていました。

行きたい。

 

そして、お盆に光明院さんに訪れました。

※写真はお庭しか撮っていないので、外観や内装、看板の写真はありません。

 

先ず、光明院さんで私を待っていたのは立て看板。

NHK「日曜美術館」で光明院さんのシーン、最初にも写っています。

 

 

多勢入山者は好みません。

庭の自尊心を傷つけますので是非にと思われる方以外 

どうでも良いとも思われる方は自問の上入山しないで下さい。

尚皆様方を信じて居ります故諸作法をお守り下さいますようお願い申し上げます。

 

結果的に今回の旅行で一番の収穫とも言えるのが、この看板と対峙したことかもしれません。

 

無料だろうと、有料だろうと敷地の内部を公開してくれるならば、法的だったり、モラルだったりと明瞭に暗黙にルールがある。

この日、午前中には拝観料設定のある民間運営の美術館だったり、お寺さんを訪れて庭や建物、絵を拝見し堪能しました。

ただ、ここではっきりと思い出した。

今、訪れている芭蕉は宗教がある。信仰がある。行がある。

この日はお盆、法事であったり、お墓参りもあるでしょう。

そういった場所に訪れているのです。

 

そして、この看板の文言。

自問します。

このお庭を是非に観たいと思い、ここに来たんだ。

ひとり旅でもある。

迷うことなく門をくぐります。

 

お寺さんの姿勢は様々なことから感じます。

お庭の自尊心はお寺さんの自尊心。

そして、訪れる人の自尊心。

看板にある、『信じて居ります』

相手を認める事も自尊心。互いの自尊心ぶつかり合い。

 

お庭を観るためには、観光用にルート設定されている訳ではなく、玄関からあがりお庭へ通じる部屋や廊下を通るかたち。

まさに、ごめんくださいませと声をかけようかと思うくらい、受付など無い。

 

そこには志納する為の投入箱がある。

誰がみている訳でない。ここでも一種の自問が必要なのかもしれません。

 

志納の目安として300円。

これまで京都各所で様々なお庭などを拝見させていただく上で収めた拝観料と比較して明らかに安いのです。

「志納」とあると迷う人も多いので配慮して頂いていると受け止めました。

ここで、私なりの観たいという強い気持ちを志に変えて納めさせて頂きました。

靴を脱ぎ、それでは上がらさせていただきます。

 

お庭に行くにはどこを通ればいいのか。

そういった案内はない。

逆にどこに入ってはいけないという表示もない。

ここでも「信じて居ります」ということ。

 

お庭に到着しました。

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外国人の小さなお兄ちゃんと妹さんらしき子供達。アメリカ人かなぁ。

その二人がお寺の様々な部屋を縦横無尽に走り回っています。

そういえば、私が子供のころにも同じことをした記憶がある。

法事に飽きて、珍しいお寺さんの中で遊び、鬼ごっこやかくれんぼをしたことを。

この子供たちは観光目的でここを訪れているわけではなさそう。

二人も日本の「法事」に飽きてしまって暇を持て余しているのでしょうか。

 

見渡せば観光目的でお庭を眺めていると思われるのは私以外もうひとり。

いや、そのもうひとりも最後までそこを動かなかったから彼も観光ではないかもしれない。


他に、庭には目もくれず部屋の畳の上でゴロンとしている人たちや談笑している人たちがいる。

 

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そんな空間の中で、なんだろう

すごく楽しくて

すごく懐かしくて

すごく嬉しくて

すごく気持ちがよくて

 

 

 

縁側に座ってお庭をゆっくりと眺めます。

 

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駅から歩いてきた時、夏の日差しと坂道のせいで随分と汗をかきました。

制汗ティッシュで汗を抑えながら、日曜美術館で放映されたシーンと目の前に広がる三玲さんが意図を持って配置した石を眺めます。

ああ、この位置は「日曜美術館」に登場したジャズ・ミュージシャン 菊地成孔さんが光明院さんを訪れて冒頭で座った場所ですね。

 

ここはしばらく、カメラはバッグに入れたまま、自分の目でお庭を眺め、肌で空気を感じます。

 

静かな時間が過ぎていく・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・訳ではない。

 

細かいリズムの足音と振動が。

青い瞳と金色で軽くウエーブがかかった髪の毛、ちょっとおめかしをした女の子が顔を出した。

どうやら、彼女が先程からお兄ちゃんから逃げ回っていたルート上にでっかいオッサンが占拠しているので戸惑ったもよう。

どうぞ、後ろを通りなさいというつもりで体を前に傾けて促したが、口元に軽い笑みを浮かべて部屋の中へと突入。

畳の上をパタパタと走ってショートカットしていった。

お兄ちゃんもそれに倣って追いかける。

 

ただ、その音も振動も雰囲気も枯山水ながら妙に合う。

 

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この三尊石を中心に放射線状に石が並ぶ。

重森三玲さんはお庭に何か由縁というかテーマというか背景なのかを庭に設定しているケースが多いのかな。

例えば、瑞峯院さん。キリシタン大名である大友宗麟の菩提寺。庭には目立たない程度の十字に石が組まれている。


龍吟庵には龍を思わせる石組みを。

そして光明院は光。佛の光が射す様子。

 

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ちょっとお部屋を移動しましょう。

 

 

 

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菊地成孔さんのように、コダーイ・ゾルダンのウィーンの音楽時計が庭を見て奏で始めるなんて事は無かった。

やっぱり、私は凡庸なんだろう。

だけど、菊地さんが「何にも知らないけど好き」

これは共感出来る。

 

 

 

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これ以上のアングルは観光ではなくお寺さんに用事がある方達がいます。

あの看板を思い出せば、観たいという強い気持ちはあるけど、当然の事ながら自重。

自尊心を持つ庭はこのような私をどのように見ているのだろうか。

 

そろそろ下山しようと思います。

 

 

 

玄関で靴を履く頃、次の拝観者がやって来た。

3名の男女。

志納筒の前で目安の300円という表記を前に女性が一言。

「お釣りってどうするんだろう」

 

お!

最後の最後にまた、問いが来た。

志に釣りはあるのか?

しばらく、その事を考えることになると思いますが、お寺とお庭に感謝して外に出ます。

 


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