雛祭りの翌日、少年は旅に出る。 [秒速5センチメートル]
2月の終わり位から、「3月」という響きを聞くと、思うことが増える。
人事異動の事
東京大空襲のこと
最近では東日本大震災のこと
そして、もう一つ
映画「秒速5センチメートル」の第一話『桜花抄』の中で主人公、遠野貴樹が栃木県へと引っ越した篠原明里に会いにいくのが3月4日なのです。
このブログ、元々はドラマ「僕の生きる道」がきっかけに立ち上げたブログであり、汎用的な記事以外では一番取り上げたことが多いのも「僕の生きる道」なのですが、実はこのブログで一番のアクセスが多い記事は「秒速5センチメートル」のカテゴリーの中にある随分と古い記事。
「僕の生きる道」が再放送されると、僕道関連のアクセスが集中するけど、再放送が終われば潮が引いたように静かになります。
そんな中、同じようなアクセス数でずーっと読まれている。
ありがたいことですが、当のブログ主は最近ちっとも「秒速5センチメートル」関連の記事を起こしません。
こりゃ、イカン(笑)
間もなく映画の中で遠野貴樹が勉強机の上で突っ伏して、卓上の時計が日付をまたぎ3月3日から岩舟へと向かう3月4日になった時間を迎えようとしている。
何か、強引でも構わないから書こうとしよう。
さて、私は「秒速5センチメートル」にハマった理由として、劇中に登場する人物に共感を覚えたことです。
しかし、私は貴樹のように引越や転校は殆どなく、転校してきた女の子と図書館で過ごす時間などなく空き地で遊んでいた。
弓道は関係したこともなく、伊豆シャボテン公園でアーチェリーをちょっとだけやってみたが才能の欠片もないことが分かった。
種子島でロケットの発射を見たこともなければ、スーパーカブで登校したこともない。
何が共感出来たのか?
それは大いなる、『変換』があったから。
貴樹ほど淡い思い出ではないけど、私にも少年だからこその葛藤や不安や冒険、そして後悔があった。
そして、それらは今となっては笑ってしまえるような単純な事であり、悩む必要もなかったこと。
それでも、当時は真剣であったし、悩んでいた。
貴樹とは違ったことでも、理解しあえる部分はあった。
大人になり、得意先に手土産を持参すべく遠回りをしてあるお店を目指していた。
あと2駅というところで遮断機に設置されている緊急警報が発報されたようで電車は緊急停止しました。
私は京浜東北線に乗っていましたが、貴樹くんが岩舟に向かう時に利用した宇都宮線もこの警報で停止しました。
さあ、どうしよう。
得意先とはアポを取ってあり、もともとのタイムスケジュールでもそれ程余裕はない。
手土産を諦めて、電車を降りてタクシーに乗って得意先へと向かう路線の駅まで行けばアポを取った時間までに間に合う。
タクシーを使い、手土産を買う目論見の店まで行き購入して、タクシーで違う路線まで飛ばしたら多分間に合わない。
但し、今回の訪問の最大の目的はその「手土産」を持っていくことと言っても過言ではないのです。
儀式的なことかもしれませんが、この時期になるといつもこれを持参するというのが定番の行為。
そして、それは百貨店や駅ナカなどには一切出店しないお店。
さあ、どうしよう。
貴樹くん13歳、中学一年生が親に置き手紙をして、渋谷区から栃木県下都賀郡(現在は栃木市)の岩舟まで電車を乗り継いで行き、途中降雪による遅れ、停車してしまい、岩舟駅で明里ちゃんを待たせている事を思えば、なんて簡単なことだろうか。
大嫌いな携帯電話・スマートホンを持ち合わせており、電車の乗り継ぎや特急電車を使った場合の費用アップで得られる時間の短縮を計ることが出来る。
ちょっとの遅れだったら、得意先に電話も出来る。
ああ、つまんないね。大人って。
いや、それ以上に波乱万丈な事はいくらでもあるからつまらない事はない。
出来れば、穏やかに平穏に過ごしたい。
でも、弱かった自分をあの映画で思い出したのは間違いない。
そして、貴樹と似ていることがもう一つ。
これは大人になっても変わっていない。
高樹が紙に書き記したタイムスケジュール。
学校を出てから、豪徳寺駅で何分の小田急線に乗り、新宿駅でどの電車に乗り・・・・・
ああ、これって先日の京都旅行でも私はやっている。
弾丸ツアーはよくやることで、以前に羽田から神戸に飛んで、西脇から旧鍛冶屋線の駅跡を巡り、多可町の鍛冶屋駅まで行ったあとに服部緑地、大阪で天神祭を見て回った。日帰りです。
あの時のタイムスケジュールは分刻み。
行ったこともない場所をレンタカーで走る。机上で立てたスケジュールなんてあっという間に崩れていく。
貴樹も降雪でスケジュールが狂い、書き留めた紙を丸めてしまった。
わかるよ。
でも、思うままにならないことの方が多いわけで、それを受け止めつつそれでも前を上を向かなくちゃいけない訳で。
さあ、頑張ろう。
頑張れ、自分。
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