そうだ、また京都1509初秋(5) 常照寺 [紀行]
光悦寺を出て、源光庵の前を通り、今朝降り立ったバス停の方へ緩やかに曲がる。
そのバス停の前も通り過ぎてすぐ、大きな「南無妙法蓮華経」とある石碑が見えてくる。
光悦寺もそうですが、日蓮宗のお寺。本阿弥光悦が熱心な法華教を信仰していたそうです。
檀林という文字。
そう言えば、源光庵の襖にも同じ文字がありましたね。
檀林は僧侶の学校という意味。
今から向かう常照寺もかつては多くの学僧がここで学んでいたそうです。
こちらも周囲と同じように紅葉の名所なのですが、もみじ・楓だけでなく
吉野桜や枝垂れ桜など、多くの山桜があり、秋だけでなく春も参拝客の目を楽しませてくれているそうです。
この時期は紅葉でもなく、桜色でもなく。
参道を進むと朱塗りの門が見えます。
吉野門。
二代目吉野太夫が寄進したもの。
美貌・品位・学芸に優れ、御所に上がることも許される五位の位も持っていた吉野太夫。
豪商に身請けをされましたが、若くしてこの世を去ってしまいます。
遺言によって、常照寺にて眠っています。
四月の桜の頃、太夫を偲び『花供養』が常照寺で執り行われます。
その際には島原より太夫がやって来て、内八文字に歩き、大傘や女中などが歩き進みます。
吉野門を過ぎて右手を見ると、帯塚があります。
太夫が眠る寺に帯塚が建立されるのも何かの縁なのか、導きなのか。
受付で拝観料を納めます。
その際に右側に進むとビデオの上映会をしていますよ、連続で流しているのでどうぞ見ていってくださいとのこと。
ならば奨めに従い、拝見することに。
ちょうど、冒頭から拝見する事ができました。
常照寺さんの案内ビデオ、いや殆どが吉野太夫に関係する事が多かった。
先程の花供養の映像も映し出され、島原から毎年この花供養に太夫が参加しているようです。
私が映像で見た、太夫はまっすぐ前を向き、内八文字で少しずつ少しずつ歩き、その姿は凛として美しかった。
島原には現在、何人かの太夫がいますが、私が見た映像の太夫は、如月太夫なのかな・・・。ファンニナリソウ。
吉野太夫に関する説明もありましたが、その中で非常に印象に残ったこと。
吉野窓。
丸窓です。ついさっき、源光庵で見た丸窓、別名悟りの窓と少し、いや大きく異なります。
窓の下の部分が少しだけ切られて真っ直ぐになっています。
勿論、意図的にそうしているのです。
完全な円形ではない。
満月も翌日には欠け始めます。完全と思ってもすぐに不完全に。奥が深い・・・。
ん?
そうか、言われてみれば今までに下が切れている円窓を見たことがあるではないか!
鎌倉 明月院の丸窓
こちらの窓も下が切れている。
さて、常照寺に戻ります。
もうすぐ映像も終わるかな?というタイミングで何人か入ってきた。
映像が見やすい椅子が埋まっている。
エンドロールが流れ始めたので立ち上がり、境内を回ることにしました。
本堂を真正面に見て、左側から順路があります。
鬼子母尊神堂。
常富大菩薩
妙法龍神堂
そして、比較的新しい門があります。
どうやら下に随分と続く階段があります。
白馬池。
この地にある白馬で往来した仙人の伝説を元に白馬池を復興、ブロンズ製の仏像を作成したそうです。
では行ってみましょう。
ちょっと心配になる位に降りると、何かの施設(水?電気?)があり、あれ?どこ?と周りを見てみると
お、まだ階段がある。
更に降りていきます。
先ほどいたご本堂は随分と高い位置に見えます・・・いや、見えない位に下ったなぁ。
来ました、白馬池。
こちらが白馬池。
白馬観音
江里敏明さんの手によって作られたブロンズ製の仏像です。
他の誰も来ないのかな?
と思っていたら、先ほどビデオを見ていた時に入ってきたご夫婦らしい二人が階段を下りてきた。
では、吉野窓を見に行こう。
その吉野窓がある遺芳庵。
ん?
んんんんんん?
ビデオを見て、すっかり吉野窓を見る気満々でしたが
遺芳庵は常時公開ではなかった。
あああああ
吉野窓を丸ではなく、横からうすーく見てみる。
これでは絶対に悟れない(笑)
確かに下が切れていることは分かった。(笑)
ああ、入口側が空いていると丸窓と後ろからさしてくる光で綺麗にほぼ円が見えるのに。
残念。
で、残念に思いつつ撮った写真。
現地で自分の目でははっきり見えなかったのですが、PCで画像処理をちょっとしたら見えてきた・・・
こちらが吉野窓。
その後、吉野太夫のお墓に。
いつもながら意図的にお墓は撮影しませんでした。
一通り巡るとご本堂の裏手に戻ってきました。
常照寺ですれ違った参拝(拝観)客の半分は見かけた顔。
源光庵も光悦寺も、そして常照寺も非常に近いロケーション。
前述の花供養の時の太夫行列も源光庵の前からスタートします。
そんな距離感。
めぐる順番もあるかもしれませんが、ついさっき知った顔が先にいたり、後から来たり。
そして、次に向かいます。
今回の京都散策は珍しく、タイムスケジュールを組んでみました。
見学する時間も来てみないとわからないものですし、本当は源光庵→常照寺→光悦寺と回る予定を変更したにも関わらず、ほぼ予定通りの時間です。
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