そうだ京都、行こう2017GW(5)養源院 [紀行]
三十三間堂の長い塀沿いに南へ下ります。
これまでも、何度か訪れたいと思いつつも見逃していたお寺さんです。
京都駅からも近いので、旅の終盤に・・・とプランすれば時間切れというパターン。
2015年の夏、お腹が痛くなり東福寺から泉涌寺にかけて時間を使いすぎてしまって諦めてしまった。
今回の旅のテーマは「歩く」と見逃した・食べ逃したところへの「再挑戦」
では、早速中に入ります。
みどころはカメラによる撮影はできません。参道での写真のみでご容赦ください。
時間は9時をちょっとまわったところ。
三十三間堂や京都国立博物館の人の多さに比べると、まだ訪れている人は少なく静か。
頂いたパンフレットを参考に紹介したいと思います。
(パンフレットに15番とありました。9時ちょいすぎで15番目の拝観者となります)
このお寺さんは淀君が父浅井長政の追善のため、秀吉に願い建立されたお寺です。
長政の院号が寺号となりました。
この後、落雷を原因とした火災により消失してしまいますが徳川秀忠の夫人、崇源院(お江)の願いにより再建されます。
その際に使われたのが伏見城の遺構であり、現存している本堂それになります。
この養源院で有名なのが、「血天井」
家康の古くから、信頼する家臣である鳥居元忠らが籠城したのが伏見城。
伏見城の遺構を弔いとし血天井として使われているお寺さんは複数あります。
私も
鷹峯の源光庵(2015年9月)
大原の宝泉院(2015年末)
で血天井を拝見しました。
この養源院さんでは鳥居元忠さんの姿であると指し棒を使って説明をしてくれます。
養源院は徳川家の菩提寺となり、手厚い保護を受けます。
さて、このお寺さんの見どころ、それは俵屋宗達の出世作。
受付で拝観料を納め、本堂に上がります。
拝観客が集まり次第、ガイドもしてくれるけどそれほどきっちりと線引きはしないガイドツアー。
聞き逃せばもう一度、見て聞くことも出来ます。
私が中に入ると、鴬張りの廊下をすすみ腰を下ろして、早速杉戸絵の説明が始まります。
最初は「白象図」
紙ではなく描く場所は杉戸。木材に描くと浮かび上がる木目。一気に書き上げた大胆さ。
保護のためのガラス越しですが迫力満点。
説明を受け、目で見て、ああ本物なんだと改めて現地で現物を見ることの素晴らしさを感じます。
その後、閉じられていた本堂・松の間が開けられて中に入ります。
ひやっとした空気の中に入り、ふすまに描かれた松を鑑賞します。
カセットテープから淡々と流れるガイドと実際にガイドさんから捕捉の説明を受けます。
独特のリズムで象られる松。近寄って見るとなるほど。
しかし、ここま近寄れることに感動。
美術についての知識は少ない。ただ、自信をもって言えるのは自分の気持ち
何かをみて
「いい」「悪い」
「好き」「嫌い」
「なるほど」「わからん」
とわいてくる感情は事実。
人がいいなと言うのは絶対的な価値ではない。湯川秀樹さんが素晴らしいと言えば、すべてが素晴らしいと言い切ることはできない。
芸術や美術はそれ単体の価値もあると思うけど、私はそこに歴史的な背景だったり、作者の意図が見えるとそれが「いい」結果や「悪い」感情をもたらすこともある。
ガイドさんの説明が進み、お位牌の話になる。
お江(崇源院)の位牌には菊・葵・桐の三紋が施されている。
浅井三姉妹の長女、淀君が豊臣秀吉に頼み建立され、妹のお江は夫の徳川秀忠に再建を頼む。
秀忠とお江の子、和子は天皇の生母となる。
そんな歴史があって、普通は考えられない菊・葵・桐の三つの紋が一つの位牌に同居することもある。
その後も麒麟の杉戸絵を見ます。
麒(オス)、麟(メス)が波間に躍動する絵を見て、少し移動して牡丹の間へ。
こちらには加納山楽の襖絵があります。
そして、戻って玄関に。
こちらで杉戸絵に描かれた唐獅子図を見ます。
ここでお寺の方に説明を受けて、また思うこと。
杉戸に描かれたこの絵が博物館ではなく、ここにある意味。
それは、作者の意図があるから。
杉戸というお寺では普段から使われる「設備」
戸は開けたり閉めたりされる。
唐獅子が描かれた杉戸を開けるとその奥に見えるのは「白象」
昨年、大徳寺塔頭「聚光院」が特別公開され、狩野永徳・松栄の襖絵が聚光院に里帰りした。
隣り合わせの部屋。裏表のふすま。
そこに作者の意図があった。
国立博物館に飾られるとき、限られた空間でそこまで再現できるのか?
単に壁に沿って展示されるだけなのか?
その一枚だけで芸術的価値があるのでしょう。
そこに作者の意図が見えたり、見えなかったり。意図的に出さなくても知ってしまったり。
歴史の中で翻弄されつつ、生きて死んだ者たちの思いがあるお寺さんにあるからこそ、あるべきとこにあるからこと価値は高まるのかなと思ったりしまいた。
正直言えば、麒麟を見て
「ビール」飲みたい
って思ったのも事実ですが(笑)
うん、来てよかった。
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