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来年も一緒に桜、見れるといいね(1) [秒速5センチメートルロケ地]

新海誠監督の短編連作アニメーション映画「秒速5センチメートル」
主人公・遠野貴樹を中心に3話は構成される。

小学校の時に篠原明里と出会い、特別な感情を覚えるが幼いゆえに何も出来ないまま離れ離れになるが、ある大雪の日に貴樹は明里へ会いに行くストーリー「桜花抄」

中学2年の時に東京から種子島に引っ越してきた遠野貴樹に心を奪われた澄田花苗の視線で貴樹の高校生活を映し出す「コスモナウト」

そして、社会人になった貴樹、大人になった明里は・・・。「秒速5センチメートル」

※ロケーション訪問記ですが、一部「秒速5センチメートル」の内容に触れております。ネタばれちょっと注意です。 

 秒速5センチメートルが桜の花びらが落ちるスピードだと、篠原明里に教えてもらった僕は、桜の葉はどれくらいのスピードで落ちるんだろうかと考えていた。

 思いつきでやって来たこの街は、以前、毎日のように小田急線で通り抜け、また営業に配属になってからはその両サイドを切り取るかのように幹線を車で走っていた。

 だから駅の名前や町のイメージだけは強烈に残っている。そのくせ、実際の町は知らなかった。

 

 家を出て、JRで新宿駅に到着したら、小田急線に乗り換える。貴樹と逆ルート・・・って訳じゃないが期待に胸ふくらませる。

 地上・地下の2層となっている小田急線新宿駅構内は久しぶりだった。

 僕がこの電車を使っていた頃、あくまで予定であり、用地買収は所々行われていただけだった複々線化工事は進んでおり、東北沢の先あたりは地下化されるようで踏切が無くなることにより渋滞の緩和が見込まれるそうだ。
 そういえば、窓から見える風景にはよく、恨めしそうにこっちをにらむ歩行者や自転車利用者を見ることが出来た。

 ただ、その地下化される区域は今日訪れる参宮橋駅周辺は対象となっていない。ということは、貴樹の振り切れぬ思いは残り続けるのだろう。

 新宿駅から普段は地上駅ホームで電車を待つのだが、今日は各駅停車にのるべくそのまま地下ホームに停車中の列車に乗る。

 初めて降りる参宮橋駅に降り立つと、反対側の改札に向かう。自分が思い浮かべた以上に降車する客が多かった。

 下調べもしていない訳だが、からかう様に駆け出す明里を貴樹は追いかける。桜の花びらの絨毯は今の季節あるわけないし、実際に桜の木があるかどうかも分からない。
 けれど、取りあえず線路より高い場所にあるのだろうと歩き出した。目の前にコンビニなどがあるがこの向こうはちょっと高台になっているようだ。どこか上に上がれる道があればいいのだが・・・。

 



あ!

あっけないもので、いきなりぶち当たりました。

ただ、贅沢を言えばこの坂は上から見たかったかな。

空間能力を最大限に発揮しながら逆さまの映像を描きながら坂を登ります。

確信しながら登ります。

もし作品のまんまなら、オープニングや第3話の「秒速5センチメートル」に登場する桜の木のある曲がり角があるはずです。

右手に工事中の箇所があるのを見とめながら坂を上ると右手一帯が整備された公園になっていることに気がつく。

そして、車が入ってこれないように施してある曲がり角を見つけた。

この曲がり角は別アングルで撮影するのはやめよう。一旦行きすぎます。

作品ではこの方向に二人が通う小学校があるんだと思いつつ振り返ります。

放課後の貴樹と明里は世界に散らばるきらめくような知識を交換し合った。そう思い振り返ります。今、貴樹と明里の放課後の一瞬の時に立ちます。

 滑り止めの円形の彫りが入ったアスファルトは不規則なカーブを描きながら急傾斜でそこにあります。

 当初身体の弱かった貴樹と明里も徐々に体力をつけてきた。それはこの坂道とお互いが鍛えたんだろうと勝手に推測します。
 実際この後、私はこの坂と曲がりくねった道がそこかしこにあるこの町に洗礼を受けるのです。

 ちょっと小走りでこの坂を駆け下りました。
 おいらの年じゃ、危ない(?)
 足がもつれて転んだら、この坂は痛そう(笑)

 映画の中では桜の木々が咲き乱れていますが、その場所は公園となっております。

 上がってみますと、子供たちがいっぱい。
 桜の花びらと同じくらいたくさんたくさん、喜々とした声をあげて走りまわっています。

 新宿の高層ビルを見上げることも出来、映画内で登場したシーンに似ているけどパークハイアットの特徴的な構造の角度がちょいと違うような気がする。もうちょっと高速道路寄りなのかな?帰って映像を見直すと、右側に高速道路が見えているのでやはりそうなのでしょう。今回は子供たちの邪魔になるので撮影は回避しました。

 さて、もう一度あの坂を降りてみましょう。

 頭の中で桜花抄を再生します。

 昨日降った雨は止んでもう地面は乾燥している。オープニングで登場する水溜りは道にはなく、明里のように傘を持って歩いている子供たちもいない。作品のあの日の朝は雨だったんだろうか?

 

 頭の中で満開の桜を思い浮かべながらこの角を曲がります。

 

 近藤好美さんによる明里の声が聞こえてくる。

「ねえ、秒速5センチなんだって」

 



「ねえ、なんだかまるで雪みたいじゃない」

 

 貴樹はふーんと感心するが、僕自身は心が荒んでいるのか、桜の花びらの落ちるスピードが秒速5センチメートル、雨は秒速5メートル、雲は秒速1センチ。これが本当か否か知らないが考えもつかない。
 この純真な子どもたちは毎日そのようなことをかんがえていた。
 
 作品中でこれから大人へと歩む彼らにとって、これらの知識がいつか必要となると感じていたからと言っていたが、大人になった今僕は、必要なものと必要じゃないものを瞬時に推測・判断してしまう、ちょっと寂しい能力を持っているからかもしれない。

 

 工事区間を左手にみます。
 映画のそれとはちょっと違いますね。

 

「ねえ、待ってよ」

 明里が駆けていった。
 貴樹は追いかける。

 作品中、このカーブの先には二人をつなぎ、二人を分かつ運命の踏切がある

 

 さて、その踏切はどこにあるのかな?

 まだ、散策は続きます。時間が足りるだろうか?時速5kmのやや早歩きで探します。

 


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CYPRESS

今日は。
「コスモノウト」、久し振りに聞く言葉です。ほぼギリシャ語の原形を止どめた言葉。ラテン語の前の言葉のはずなので、かなり古い言葉です。
英語では「ソ連の宇宙飛行士」の意。Sが有声音になり「コズモノート」と発音(→タスマニアが「タズメイニア」になるのと同じ。英語の発音の変な点)「米国の宇宙飛行士」は「アストロノート」です。
この物語の作者は反米なのかも。
「ナウト」と言えばギリシャ神話の「アルゴ探検隊」。コマ撮りで有名なあの映画の元。呉茂一先生の「ギリシア神話」(新潮文庫上下巻)では「アルゴナウタイ」。
アルゴの勇士たちを引き連れていたのがイアーソーン。イアーソーンの英語訛りが"Jason゙=ジェイソン。「13日の金曜日」シリーズのあの主人公の名前。
イアーソーンが求め手に入れたのが"Golden Fleece゙=金羊裘(きんようきゅう)。あのブルックスブラザーズ(=小川兄弟社)のシンボルマーク。フリースはポリエステルだけではなく「羊毛、羊毛状のもの」の意。
「ナウト」は「航行者」の意、語源は「ナウス」=naus=「船」。これから出来た英語で一番使うのが"nausea゙=「吐き気、船酔い」。
by CYPRESS (2007-12-02 17:27) 

maeboo.

CYPRESSさん、こんばんは
作者であり監督である新海さんが反米か否か分かりませんが、彼の作品「雲の向こう、約束の場所」には米軍が登場します。
昔北海道と呼ばれた蝦夷はユニオンの占領地となっており、青森は米軍に統治されています。主人公は対岸の土地に憧れを抱いている・・・。

さて、種子島ですから作品中で宇宙関連が登場します。
貴樹と花苗の前にH2ロケットがセンターへと陸送されます。
時速5km。
by maeboo. (2007-12-02 21:39) 

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