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秒速5000センチメートル [秒速5センチメートル]

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明里 「ねえ、秒速5000センチメートルなんだって」

貴樹 「え?なぁに」

 

 

 

まるで雪みたいと例えた、桜の花びらが舞い落ちるスピードを秒速5センチ、雨は秒速5メートル、雲がだんだんと落ちてくるスピードは秒速1センチ。

そう、小学生の頃の明里は貴樹に教えた。

何かの本か、テレビで得た情報らしいが、私は秒速5センチメートルで舞い降りる桜の花びらを見たことが無い。

もしかしたら、小学生の頃だったらそのぐらいゆっくりと落ちてくる桜を見ていたのかもしれない。

大人になって、経験も増えて対処する能力が増えた分、効率を気にし過ぎているのかもしれない。

 

結婚して、東京に住むようになった明里。

偶然小学生の頃、貴樹と過ごした参宮橋付近の踏切で貴樹と再会する。

彼女もすっかり大人の女性になっていました。

 

さて、何が秒速5000センチメートル?

はい、脱線していきますよ~。

覚悟してくださいね(笑)

 

大人になり再会した貴樹と明里。

すれ違い、振り返った二人を遮ったのは小田急線の踏切とそこを通過する小田急電鉄。

以前、記事にも書きましたがこの踏切は・・・・・とてもデンジャラスである。

警報機が鳴り始めて、上り・新宿方面行き電車が踏切に到達するまで22秒間。

これが法律的にどうかは分からないが、遮断機が降りてから5秒後に電車が通過するのはまずいだろう。

さらに、この場面。上り電車に引き続き下り電車もやってくる。

遮断機に下り電車到来の表示が点灯してから、何と2秒でやってきた。これは危険だ。

この下り電車。前の記事にも書いたけど、なんと20両編成。参宮橋駅に入線したらはみ出してしまうだろう。

 

知識は無いが、小田急電鉄の5000形車両。全長20メートル。

20両編成の列車が、二人の間を8秒間かけて通過して行った。

計算:20メートル×20両÷8秒=50メートル。 

ということは秒速5000センチメートルで駆け抜けていったのだ。

 

しかし、この秒速何センチメートルという表現はピンと来ない。

普段、使う事が殆ど無い表現だから。

時速何キロメートルに変換してみよう。

ええと・・・・・

時速180キロメートル。

この踏切で小田急電鉄の特急車両でも無い編成が180キロで通過して行ったのか!?

そりゃあ、怖い。

 

何でこの運転者さんは速度を上げたのか?

勿論、貴樹を思いやっての事だろう。

早く通過する事で、明里との再会を演出しようとしたのだ。

そう、この運転手は同じような光景を17年前にも見ていたのだ。

焦る貴樹と、雨傘を手に持ち頬をほんのり染めた明里を。

 

だが・・・・・。そんな運転手の配慮も徒労となり、そこに明里は待っていなかった。

小学生の頃のように、踏切の向こうで明里は待っていなかった。

すれ違った踏切。警報機がなっても悠然と踏み入った貴樹と明里。

あの踏切の奥、上の写真を見てもらっても分かると思うが小さいT字路にぶつかる。

踏切からその曲がり角まで大して時間は必要ない。とは言っても、先ほどまでのスピードで歩くとしたら決して近いとも言えない距離でもある。

貴樹と同様にすれ違いざま何かを感じた明里は確かにこちらを振り返った。

遮断機が上がると明里はいなくなっていた。その間17秒間。

止めた足を再び動かすのに多少時間はかかる。曲がり角の先まで行くには、それまで歩いていたペースでは到底間に合わない。

彼女はダッシュしたのだろうか?貴樹の事を思いやり、走り去ったのだろうか?

まして、カーブミラーがあるから死角になる右側の参宮橋駅方面へとダッシュしたのだろうか?

 

まあ、明里ちゃんがそんなことをするはずもなく、この再会自体が幻影だったのかもしれないし、貴樹が独立後オフィスの中で春の陽気に誘われて居眠りしていたのかもしれない・・・。

 

・・・じゃ、ダメ?

 

過去にこの再会の「年」を検証した記事「前略、遠野貴樹様・・・・・あなたはいつ桜を見たのでしょう?」の中で食い違いを見つけていた。

だから、この再会自体が「特別な存在」なのかもしれない。

 

明里と最後にあってから、貴樹は種子島へ行った。

種子島で高校に進学した貴樹は、澄田花苗から恋心を抱かれた。

やさしさとその裏返しにある残酷さを貴樹自身は恐らくしらないまま月日は流れた。

貴樹と花苗の前をNASDAの大型トレーラーがゆっくりと通過して行った。

その速度 時速5キロメートル。

ゆっくり通過して行った部品はロケットなり、花苗が告白を決めた日に飛んで行った。

物凄いスピードで雲を突き抜けて行ったと同時に、あれ程踏ん切りが付かなかった花苗がすべてを悟った。

 

 

水野理紗は別れのメールで「1000回もメールをやりとりして、ただ心は1センチ位しか近づけなかった」と言った。

貴樹が理紗と交際したのは3年とあるが、前日の検証の際、交際を開始したのが梅雨時であり、別れのメールが2月だから交際期間は3年7ヶ月。

二人が3年と7ヶ月過ごした、接近スピードは・・・

分速5ナノメートル。

 

私のブログでナノメートルという単位が登場するとは思っていなかった(笑)

 

貴樹はこうやって、速度・・・それも5の付く速度の幻影に追いかけられていたのだ。

もしかしたら、大学時代の生協のバイトで知り合い交際を始めた同級生や、塾の講師のバイトの際に知り合ったアシスタントととの間にも、何かしらのスピードが流れていたかもしれない。

 

そんな幻影を振り払ったのは、やはり明里だった。

岩舟での再会。

その日二人は手紙を用意していた。

貴樹は自宅で書き、明里は岩舟駅の待合室で。

結果、二人の手紙は交差する事はなかった。

貴樹の告白は風に飛ばされ、明里の告白と決意は渡さぬまま通学カバンから宝物箱へと仕舞われた。

 

前に進もうと決意した貴樹は止まった時間を取り戻す。それを目の前に通過する電車とさらに向こうに居る女性をきっかけにした。

止まった時間を取り戻す為なのか、心に移る電車のスピードが秒速5000センチメートルに見えたのだろう。

※以前、書いた記事(あなたはきっと大丈夫)とは解釈が変わっていますが、時を経れば変わる物でしょう。

 

 

 

前述の記事、「こころが見つからない」 で、気になる点をいっぱい上げたけど、もう一つ見つかった。

岩舟に転校していった明里から手紙が届き、二人の手紙のやり取りは始まった。

その手紙の中・・・

明里は今年最初のセーターを出した事を貴樹に告げている。

さらにそのセーターはセーラー服の上に着るクリーム色のかわいくてあたたかいセーターだと書いている。

 

待てよ・・・

 

明里ちゃん。

明里ちゃん、セーラー服は高校時代の制服で、中学時代はブレザーだったよね。

ね?


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