マルカワのガム、あたりを手に訪れる場所 [ライフ]
今日、病院の帰り道。
道はやたらと混んでいた。
あともうちょっとで家に着くというのに・・・。
コンビニに寄ろうと思い、バス通りを走ったのが運のつき。
そのコンビニも駐車場が満車だった為、時間の無駄遣いだった。
なかなか動かない車の中から、外を眺める。
目の前にある、綺麗な今風の一軒家を見ながら、昔のここの風景を思い出す。
どれ位前に平屋の木造店舗兼家屋が無くなったのか思い出せない。
赤・青・白がグルグル回るサインが入口にある、理髪店。
初めて訪れたのは、母と一緒だった。
小学校低学年。もしかしたら、もっと前から来ていたかもしれないけど、覚えていない。
店には母より年配の女主人とその娘さん。
小さな身体だけど、チャキチャキしたお母さん。
愛想が無いわけではないけど、母親がよく喋る分、物静かだった娘さん。
その女性二人で理髪店を切り盛りしている。
店にある理髪用の椅子は二台のみ。
あまり混んでいる事はなく、待った記憶もあまりない。
道具も道具入れも全てがアンティーク。
洗髪台の周りはタイル張り。
目地にパテをあてて水漏れを塞いでいる。
当時、散髪があまり好きでは無かった。
じっとしているのが苦手だった。
だけど、今思えば贅沢な時間かもしれない。
街では1,000円であっという間にカットしてくれるビジネスもあるけど、窓越しの柔らかい光の中で子供でも一時間たっぷりと理髪してくれた。多分、子供料金で1,000円でもお釣りが来たはずだ。
一人で行くようになると、楽しみになってきた。
その要因の一つが、散髪を終えて会計を済ませると、引き出しからガムをくれる。
今日は、フィリックスか?それともオレンジ?いちご?
家に帰る途中にガムの包みを解く。
なぜか当たりをよく引いた。
勿論、向かうのはあの理髪店。
私以上に喜んでくれて、もう一つガムをくれた。
もう一度、髪を切ってもらいたかったなぁ。
そしたら、ガムをくれたかな?
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