そうだ京都、青もみじを見に行こう(10)竹の寺 [紀行]
鈴虫寺の大変な混雑を見て、迷うことなく次に向かうべき場所へと足を進めた。
これは朝一ののぞみ号の中で、眠らずにガイドブックを眺めていたおかげだ。
ここに辿り着いた瞬間思った。
いつも私の一人旅はなるべく多くのスポットを巡るべく、早足になりがち。
でも、訪れた瞬間、時間の流れがスローになる場所がある。
こちらも、そうなるのであろう。
山門まで続く道は楓に囲まれている。
今は青く、秋は赤く染まるのでしょう。
ここに来るまでに、他の観光客の後続がいたと感じていたのですが、この参道に入り振り向いたらいませんでした。
立ち寄らないのかな?
さて、山門に到着。
通称、竹の寺と呼ばれる、地蔵院さん。
さっきまで楓に囲まれていたけど、山門の奥にはびっしりと竹が生えているのが見えます。
よく見ると、一休さんにもゆかりがあると気づきます。
雰囲気といい、人の少なさといい、ワクワクした気持ちと共に山門をくぐります。
おっと、気が付かなかった。
こちらで拝観料を納めます。
この雰囲気に溶け込んだ、ご年配の女性が座っておられました。
早い時間のせいか、死角から突然と現れて、「大人ひとりです」と言ったらちょっとびっくりされていたのは気のせいか。
で、いつもの通り、
「写真、撮ってもよろしいですか?」
と聞くと
「は・・い」
ん?
ちょっと気になる。
切れのよい「はい」では無かった気がする。
突然、にゅっと現れてびっくりさせてしまったかもしれないけど・・・
とは言え、もう目の前には
竹。
孟宗竹が風にそよいでいる。
葉っぱも舞い降ってきたり。
振り向いても誰もいない。
竹が揺れて、葉が降る音だけがこの空間で聞こえる。
360度、くるくると回ってみる。
ああ、今年も京都に来てよかったな。
そう思った。
山門から進み、竹林を抜けてまっすぐ進むと、ご本堂となります。
ご本尊は延命安産地蔵菩薩。
「谷の地蔵」とも呼ばれております。
写真は撮りませんが、夢窓国師、宗鏡禅師、細川頼之公の木像が安置されています。
細川頼之が地蔵院を創建、彼が帰依した宗鏡禅師が開山。宗鏡禅師は夢窓国師の高弟にあたります。
今のところ、先ほどの女性以外誰にも会っていません。
お寺の方にも参拝客も観光客も。
本堂でお参りを済ませて、色々なところに丁寧に説明書きがある。
ところどころに、手書きで優しく説明してくれる補助的なものも。
それが、心に温かくて。
で、青もみじ。
今回の京都散策のメインテーマ(後から決めたのは内緒)。
本堂より右に進むと
中門。
この先に実はガイドブックで読み、興味を持ったお庭があります。
そして、中門まで来て
この先は撮影禁止とあります。
先ほど、拝観料を納めた際に撮影は可能ですか?と質問した際の
ちょっと間のあった、「は・・い」には、基本OKだけど一部NGの意味だったのですね。
私が早口だったからね。
さあ、こんな時は撮影をしなければカメラを首からぶら下げたり、持ったままでもいいのですが、私はカメラバッグに仕舞います。
誰もいないけど、仕舞います。
すると、自分の眼で見ることに集中しやすいということもあります。
という事でこれまでのレポートした時間の数倍もこの方丈で過ごしました。
方丈の前にはお庭が広がっています。
そして、先客がいました。
恐らく、このご夫婦もここでのんびりされているのでしょう。
私も旅は始まったばかりですが、トートバッグを端っこに置き、お庭が見えやすいところに腰を据えます。
お庭は平庭式枯山水庭園。
通称、十六羅漢の庭。
苔で覆われた庭には沢山の種類の木々が配されています。
そして、羅漢を表現する石も多数。
ここは一休禅師が幼少期を過ごしたお寺だそうです。
1年半前のお京都散策で大徳寺へ行き、一休さん所縁の寺を見てきましたが、ここでも繋がりました。
お寺さんだから、だらしない恰好は出来ないけど、許されそうな範囲でリラックス。
朝よりは天気が良くなってきた気がします。
しかし、天気予報では間違いなく下り坂。
先に進むべきだよねと、何度も自分に問いかけて、やめて(笑)。
さあ、行こうか。
複数の家族連れがご本堂の前におります。
ちょっと、小さな子供には退屈かな?
先ほど歩いた竹林を抜けて、私の姿が遠くから見えていたのでびっくりさせずに女性と会釈して、先方もやわらかい笑顔で返してくれました。
さあ、まだまだ歩くぞ。
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