屋根の上のバックパッカー [ライフ]
先日、最近はあまり通らない道を歩いた。
そこには、懐かしい公園があった。
正式名称は○○○児童公園という名があるが、だれもその名で呼ばず、通り名で呼ばれている公園。
ジャングルジムや鉄棒、滑り台に砂場などメジャーな遊具はそのまま残っていた。
しかし、名前は知らないけど軸を中心にくるくる回る遊具は無くなっていた。
接続部分や老朽化で子供たちが怪我する懸念があり、取り外されたのかもしれない。
その中で目に移った設備で、おや?と思ったものがある。
そして、意識はアルバイト時代、もう20年以上前の頃に飛んで行った。
何度かこのブログでも書きましたが、高校入学して間もなく、そして大学を卒業するまでずっと同じファストフード店舗でアルバイトをしていました。
同世代の仲間だけでなく、高校生当時は多くの大学生とも接し、平日ならば主婦のパートさんも多かった。
そして、フリーターと呼ばれる人もおり、私がバイトする日は殆ど時間帯が被る「主(ぬし)」のようなフリーターの方がいる。
年は私より4歳上。高校生時代からバイトを始め高校卒業後は週に5~6日働いていた。
尊敬できる部分も多く、ガンコで、だけどそこは違うんじゃない?と思う部分もあったけど、4歳下の私のことを随分理解してフォローしてくれた方。
彼は通常は毎日のようにバイトしているが、アルバイトが多く集まる学生の夏休みの期間になると長期休暇をとる。いや、バイトだから休暇という訳でなく単にINする申請をしていなかっただけかもしれないが、ある意味社員以上に職場にいる方だから、長期休暇という言葉の方がしっくりくる。
彼は仲間たちと約束をしており、毎年あるアーティストのイベントに参加している。
参加するというのは見に行くのではなく、支える側。
就職してしまうと、それに参加できなくなるのでフリーターの道を選んだ。
ある夏、今年もそのイベントがあり、九州で開催される。
彼はその夏、歩いて九州へ行くことにした。
8月の中旬のイベントに間に合うようにその年の長期休暇は7月から早めにとっていた。
真っ黒に日焼けして無事に帰ってきた彼はいろいろ話してくれた。
「なあ、maeboo.(仮名)、野宿するなら公園のトイレの屋根の上がいいぞ」
えええええええええ!?????
「平たいし、ベンチよりも安全なんだ」
当時のアルバイトの時給は540円スタートで、徐々に増えていく。それでも当時の彼の時給は700円台。
今の若い人たちには信じられず、働く気もしないだろうけど、働ける場所も少なく、実際に多くのバイトが集まった。
彼も一ヶ月にフルで働いても10万強。普段の生活費から「夏のイベント」と無収入となる部分の蓄えをねん出するのだが、歩いて九州まで行く間、雨が降れば野宿はできないし、お風呂は欠かさずその土地の銭湯を探すのが楽しかったという。
宿代を節約するには公園のトイレの屋根の上がいいという。
私が大学卒業、就職を機にアルバイトをやめるときに本当に寂しそうな顔をして、でもがんばれと見送ってくれたその先輩。
その彼は仲間たちとの約束を守り、その「イベント」を10年間支えて、フリーターから正社員となっています。
もう、15年くらい会っていないかなぁ。
私が幼少期に遊んだ公園にあるトイレ。
そういえば、屋根の上に登って遊んだっけ。
でも、時代なんでしょうね。
そこにあるトイレの屋根は三角屋根。
無理やり登っても、そこで野宿はできない。
2017-01-28 09:13
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