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そうだ京都、行こう2018 晩秋(3)念願の龍吟庵へ [紀行]

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東福寺本坊庭園を出て、その奥へ。


東福寺三橋と呼ばれる三つの橋がある。


朝いちばんに通過した、撮影禁止となっている臥雲橋。


拝観料を払って紅葉を見渡すことができるが、この日は紅葉よりも人を眺めることになりそうな通天橋。


そして、一番奥にある偃月橋。



この橋は何度か渡ったことがありますが、その先にある塔頭、龍吟庵(りょうぎんあん)に入ることは今までありませんでした。


通常は公開されておらず、基本的には秋の特別公開だけ。(今年は春にも特別公開をしたようですが)


重森三玲さんのお庭は三方に施されていますし、その庭も素晴らしく、ずっと訪れたいと思っていた場所。





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偃月橋を渡って左右の眺めもいいのですが、あまり高揚感というか紅葉観というかが感じられない。


今は龍吟庵しか頭にない(笑)




すでに数人の人が拝観開始時間を待っている。


あと数分。


キャリアがあまり無さそうな若い学生バイト君と人生もお寺の案内も永遠の長さを感じさせるようなベテランの女性関係者との会話が静かな空気の中、耳に届く。


ここは国宝であり、注意事項が多いそうだが、外国人観光客への説明が届かないことがここ最近、多いらしい。





拝観時間は9時からだが、ここはハイシーズン。


9時前に誘導が始まった。









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日本で最古の方丈のひとつともいわれる龍吟庵。


南側の庭に面してお部屋が三つ。これは客人をもてなす側。


北側は逆にプライベートの間になる。


南側は日差しを浴びて明るい。庭に敷かれた石も太陽光を優しく反射して部屋の中を明るくする。


こちらの庭は「無の庭」


何にもない。


重森三玲らしい、大胆な石遣いもない。


だが、隣の庭との境に特徴的なものを


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おお、テレビで見た!!


竹製の垣根には稲妻模様がある。


無の庭とその先の庭に続くストーリー性がある。


女性スタッフさんによる、ガイドが始まった。


もうずっと恋焦がれた龍吟庵だから、説明など聞かなくても分かるよ・・・


と、思ったら大間違い。


お勉強になる。



そして、日々のことも


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ここ数日でやっと朝の冷え込みが厳しくなり、紅葉もその数日で色濃くなってきたとのこと。


ピークはあともう少しのようですね。





で、西側の庭へ


重森三玲が庭の込めるテーマ。


龍吟庵・・・「龍」



龍門の庭




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庭に「モルタル」を使って造形し、境目を鮮やかに描く。


色の違う石で海と雷雲を表す。


先ほどの稲妻が施された竹垣は竜門の庭の雷雲を暗示していた。












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雷雲から頭をあげる龍


その胴体が反時計回りに雲間と海の上を漂う。











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龍の頭だけでなく、胴体が見えますか?


反時計回りにつながっていますよl




これはやっぱり重森三玲さんらしい庭ですよね。


このモルタルと使った手法は霊運院でも見たことがある。


龍の頭も、彼の作品であまり資料がないけど近しいものを見たことがある。



ここもずっと眺めていたい。


しかし


しかし


しかし


この竜門の庭を座って眺め続けるのが難しい。


スペースが狭いのです。


書き忘れましたが、国宝の龍吟庵に入る際に注意されたことがある。


実際に言葉が通じなかったのか、係員が慌てて駆けより注意していた。


ちなみに日本人だったが。



それは手荷物は体の前に抱えること。


サックやショルダーバッグなど、意識を飛ばすとふすまや障子にぶつかる。


国宝を傷めてしまう。


無の庭を眺めるのは正面であり、スペースはあるが竜門の庭がある西側は狭くて人が座り込むと後ろを慎重に通らないといけない。


そこでカメラを構えてうっとり・・・なんていうのはガイドツアー式にどんどんやってくる参拝者の邪魔になる。


なくなく、移動する。


ならば、何周もガイドツアーに参加するだけだ。






で、もう一つ、見たくて見たくて見たくてしかたがなかったお庭


有名な竜門の庭以上に見たかった。


不離の庭


最初は名前の通り、ずっと眺めて後ろから次の拝観客が来るまで離れることができない庭だと思っていたが、それは誤り。


建物の間にすっとあるスペースに作られた庭は、大徳寺塔頭の龍源院のお庭、一枝担を思い出す。




ただ、そこにあるテーマは異なり、不離の庭のバックグラウンドにあるストーリーは目の前の石組みで


その色や向きで見事に描かれている。



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もう手に入れることができないと言われている鞍馬の赤石が敷き詰められている。


真ん中に平たい石


その前後に白い石と黒い石


さらにその周りにとがった石が三つずつ





真ん中に新たい石は、東福寺開祖である大明国師が幼いころ、熱病に冒され回復が見込まれずに親によって山中に捨てられた。


横たわる国師はオオカミの群れに襲われるが、二頭の犬が国師から絶えず離れずにオオカミと対峙して守り続けた。


その二頭が平たい石(大明国師)の前後にある黒い石と白い石


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オオカミはまだ国師を狙いますが、やがて向きを変えて遁走します。


そんな大明国師にまつわる故事を重森三玲は石組みで見事に描いているのですね。





不離の庭は最初、私がこの庭から離れられないということかと思ったのですが、国師を守るためにずっと離れずにいた二頭の犬のことを表していたのです。



この不離の庭もカメラで全景を撮る場所は限られて、眺めているのも場所があまりない。


数週ぐるぐるぐるぐる巡った参拝客は私です。(笑)



やっぱり私は離れることができない、不離の庭であり、不離の庵だった。



ああ、よかった。



来てよかった。

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